JMO2023予選/本選参加記
まいんです。
2023年・第33回日本数学オリンピック(JMO)を受験しましたので感想を書いておきます。
JMOは国内の数学オリンピックでありながら国際数学オリンピックの出場権へと繋がる大会でもあり、高2以下ならば誰しもがその切符を持っています。
予選
試験前は友人とマックに行きました。2023年 数オリシーズンの幕開けです!!
試験会場は早稲田大学でした。会場に着いてからは高校の同期と喋って気を和ませました。
問題について
予選は短答式の問題を12問、3時間で取り組みます。
12問で3時間ってかなり短いので、長時間(30~60分以上)かけていい問題はせいぜい1つか2つに絞らないといけません。
当日のムーブ(以下ネタバレあり)
JMO予選では白紙B4用紙が7枚配られます。足りない人には足りないので、普段使いの消しゴムのほかに頑丈な消しゴムを持っていくといいでしょう。「ぜんぶけす」は画面上でなくても可能です。
1 文字を置くとできますね。
2 実験をしましょう。数が大きくて実験ができないなら桁数を落として実験しましょう。
具体的には、今回なら1桁の場合や2桁の場合について、良い数や悪い数を全て書き出します。そうすると数がだいたい同じくらいあることが分かります。2と3を入れ替えればだいたいのものがセットで出てきますね。あとはセット以外を考えれば終わりです。
3 計算をしようかとも思いましたが、冷静に考えると等しい角度が多くて相似で終わります。
4 確実に不変量です。各操作で変わらない量を見つけようともがいてみると、左側で逆数を取ると計算しやすくなることがわかります。
5 数列の各値の差だけに注目すればいいことが分かって、a_1=0としてみるといい感じの答えが見つかります。平行移動は大事ですね。
6 中心周りでうまく分割するとできます。図を大きく書くとやりやすいので、紙の大きさを気にせず一枚丸々図で埋め尽くしましょう。何回でも書き直しましょう。
7 互いに素なので条件を分割できることに気付いた後、計算が重くなってしまいました。時間がかかりそうな計算は後に回してもいいかもしれませんね。
8 0と2が等価なことに気付いたあと、最大値を取る構成をいろいろと試していたら割とすぐ見つかりました。色ボールペンを使うと見やすいです。個数の数え上げも簡単だったのでラッキーです。
9 0を補うと見やすくなって、実験をすると性質が見えます。(文字にするの難しい)
10 幾何の構図が試されていて好きです。中点とか垂線の足にどれだけ親しんでるかが問われていますね。僕は割と解ける人少ないのではないかと思いましたが、意外に簡単だったという人もいました。
ここまでで2時間でした。同時に紙が尽きたので、消しゴムの出番です。
11 適切なグループ分けをすることと、答えが2^n-1の形になることまで予想できました。しかしそのグループ分けをどうすればよいのかまで短時間でたどり着くことはできませんでした。
12 関数方程式の形を格子点上で考える命題に帰着できましたが、答えの最大化の段階で誤ってしまい、答えを間違えてしまいました。
感想
1~10は割とすんなりと解けました。2020ほど簡単だとは思えずボーダーは7と予想していたのですが、結果のボーダーは8で通過者も少なく、厳しい予選になったなと感じました。
11は割と時間かければ解けそうでした。12は二項係数に慣れていなかったのが敗因でした。区間上で考えているときは中央値か端点で考えたときが解になっていることが多いですが、少なくともその二つは比較するべきだと感じました。
終わった後は高校の同期で餃子を食べました。美味しかったです。
打ち上げ!(適当) pic.twitter.com/iyPnayVVX5
— 😇sanada😇 (@sanada_atcoder) 2023年1月9日
本選
試験前は友人とマックに行きました。
本選での失敗はなんとしてでも許されないので、ここは気合いを入れていかないとなという感じでした。
本選だけの対策は直前にとどめました。過去問を解き直してみると4完できる年も多く、不安はあまりありませんでした。(過去2戦2勝なので、むしろより上位を狙っていこうという感じでした。)
試験会場は早稲田大学でした。本選会場は知り合いが多くてテンションが上がりました。夏季セミで話した人がちらほらいました。
目標はもちろん川井杯なので、「見直しよりも先に進んでいく」方針で挑みました。
問題について
JMO本選は白紙B4用紙が5枚配られます。予選よりも時間が伸びたのに配られる枚数が減りました。おかしいです。
本選の時は運よく問題用紙入り封筒をしまうよう指示が出なかったので試験前にはさみで切っておきました。大事なテクニックです。
試験前には色ペンや分度器の使用許可の確認をしておきましょう。たぶん色ペンは大丈夫で、分度器はダメです。
当日のムーブ(以下ネタバレあり)
まずは分野をチェックします。CGANA(C?)かなと思いました。
1 今までの経験から、マス目の問題は80%くらいで塗分けで、そのうち50~60%が市松だと心得ていて、どうせ塗分けだろうなと思ってからが進みませんでした。3×3でも実験をしましたが、実験材料が少ないので困りました。
2~4を解き終わってトイレに行くと壁がタイル状になっており、塗分けがひらめいて24以下であることを示せました。再び5×5でひたすら手を動かしていると24の構成を見つけて、ラッキーでした。
2はどうやっても解けそうで、だからこそ初等で解くべきだと思いました。困ったときはangle-chase(角度計算)をさぼっている時なので、ちゃんとangle-chaseをすると垂心が見えて解けました。解き終わったのが開始30分後くらいだと思います。
3は単調性が言えればFEになるので、単調性を言おうと試みました。ここで嘘(議論の誤り)をついてしまったため、その後の議論が台無しになってしまいました。
4は見た目が怖いなと思いましたが、直前にdやφについての話を友達としていたので自信をもって取り組むことができました。手を動かしたら随分と作為的な作問であることに気付いて、位数の議論を使えばできました。
5はもっと見た目が怖いです。残り1時間くらい真剣に考えましたが、自明な上界と下界だけ示しました。おそらくどちらかは引っかかっていると思うので、1点来たらいいなと思いました。
感想
自称33(88881)点で、周りで5を解いている人がいなかったのでメダル圏に入るかもと期待していました。
しかし蓋を開けてみると88281で27点、優秀賞でした。
3で嘘をついていたようです。でも自分としてはこれに後悔はなくて、「どんどん先に進む」という戦略を立てて最終的には嘘をついてしまったものの優秀賞に引っかかっていることは自分の立てた戦略上JMOの正しい戦い方だったのではないかと思っています。これ以降嘘には敏感になり、嘘をつかないよう訓練しました。
4が解けたのはたまたま直前にφ関数あたりの議論を友達との通話で見たことがあったからだと思っています。友達と通話しながら問題を考えるのはおすすめです。
ところで、ボーダーが23点だったらしく、とても高いなと感じました。3と4が割と解きやすかったからでしょうが、それにしても20点くらいが妥当なのではないかと思いました。
終わった後は高校同期と餃子に行きました。美味しかったです。
JMO本選打ち上げ!!
— tada72 (@tada721) 2023年2月11日
餃子パーティー再び pic.twitter.com/KNemw5VVB0